『脂肪注入の再建』---セルポートクリニック横浜---経験者のお話


10月14日のサロンでは『セルポートクリニック横浜』(以下【セルポート】)の乳房再建の経験者がお話に来てくれました。CAL(キャル)と言われる脂肪注入の再建です。

今回はまずCALの話題のみをレポートします。

Yさんは20173月に、乳輪乳頭を残し、皮下全摘手術(同時にエキスパンダーを挿入)を受けました。その病院で筋皮弁による再建を勧められたものの、医師の説明が不十分で、少々強引だったこともあり、一時はシリコン再建を考えたそうです。けれど、ある患者大会でクジにあたり、ベクトラ体験をしたところ(ベクトラについてはシャロン前橋のブログ 第三回 『E-BeC特別セミナー』に参加して の記事が参考になるかも知れません)、自分の健側にもっとも近いシリコンを入れてさえ、左右のバランスを欠くことがわかりました。熟慮の結果、Yさんは【セルポート】の情報に行き着きました。

『セルポートクリニック横浜』が一般の病院とは異なり株式会社です。その特質をYさんは良く理解していて、

○モニター割引価格

○ピンクリボン月間割引き

○諸処の事情によっては交通費が1万程度、補助される

等、ユニークな料金設定を紹介してくれました。サロンでは笑いが起こりました。

現在、脂肪注入は自由診療です。保険は適用されません。そもそもCALは総額300万程度かかる再建なのです。(脂肪注入90万円×三回分と、加えて血液検査やCTなども自費)。

しかし、一生懸命働いて貯めたお金をこのような時に使わなくて、いつ使う?というYさんの思いには納得させられます(そこまでの貯金がない、とがっかりする私たちの頭に浮かぶのは、年末ジャンボです)。

CALには二通りあるそうです。

  1. インプラント+CAL=ハイブリット再建:インプラントを土台にして周りを温かい脂肪で覆い、乳房の高さを出す)
  2. ステップCAL =すべて脂肪注入で再建する

Yさんの順を追っての体験談はとてもわかりやすいものでした。それぞれのお胸のかたちや切除後の内傷は千差万別であるゆえ、実際に【セルポート】に足をむけて、CALの再建方法で綺麗に仕上がるかどうか、初回のカウンセリングで判定してもわらねばなりません。

可否を知るのが第一段階です。その「カウンセリング」は無料です。これは大きなメリットです。CALでは再建不能だから「他へどうぞ」ときっぱり言われれば、他を探します。いい加減な再建を強引に勧められるのは、迷惑を通り越して患者の悲劇です(ヤブ医者ほどすぐにメスを握りたがる)。

Yさんのスケジュールは

9月初旬に一回目 脂肪注入(了)

12月に二回目の脂肪注入を予定

来年3月に三回目の脂肪注入をして、完成の予定です。

1回の全身麻酔は34時間。誰もが術後に歩いて帰っているという点を信頼し、YさんはCALを選んだそうです。

CALの特徴は脂肪の内の幹細胞を増大させ、より正着しやすい脂肪細胞を作り、注入する点です。この幹細胞増大術も、麻酔の間に行われます。どんな機械で増大させるのでしょうね。見てみたいです。

今、入っているエキスパンダーを術中に抜き、胸筋に脂肪を注入し、赤肉を霜降り肉に変えるように膨らませてゆく。その後、注入した脂肪の量だけ、エキスパンダーから生理食塩水を抜いて小さくし、また挿入しておきます。

Yさん一回目のドナーは太もも前側でした。 

脂肪を採取したあと、足首までのガードルを付けるそうです。術後はお胸と太もも(膝まで)が真っ青だったとのこと、その皮下出血は1ヶ月で消失したそうです。

気になるのは痛みですが、術中にエキスパンダーを抜いた後の痛みの他、特に気にならなかったとのこと。大腿部から脂肪を採取する際、カニューレの穴がつきますが、注入した胸に新たな傷は出来ません。

患者さんが求めているのはこのような、費用、痛み、日常へ影響などの詳細な具体例なのです。都内からシャロン前橋まで来訪され、ご自身の経験を参加者に発信して下さったYさんの意思と後続の患者を思う気持ちには頭が下がりました。

Yさんの注入二回目は太ももの裏、もしくはお腹からになるそうです。「よく食べて太って下さい」と言われているそうですが、それはYさんがほっそりした女性だからです。誰もが太って良いと言われるわけではありません。



【セルポート】の医師、辻直子Dr.始めナースも受付のスタッフも雰囲気がよいのは、職員教育ゆえでしょうか。ドクハラで患者さんにフラレたら経営が成り立ちません。
来年3月以降、完成してからYさんにまたお越しいただければ、そのときは是非、お披露目いただきましょう。



横浜市立大学附属市民総合医療センターの佐武利彦Dr.が取り組んでいるのも、やはり傷や痛みの少ない脂肪注入による再建です。CALと異なる点は、ブラバという装置で外から陰圧をかけて、お胸の内側にスペースを作り、毛細血管が増えやすい生育状況をつくっておいて、脂肪細胞を注入する点です。初めから幹細胞を増大させる装置は使いません。

幾度か佐武Dr.の講演をお聞きし、スライドで脂肪注入の現場などを拝見していたので、Yさんのお話は耳にすっと馴染みました。予備知識がなければ、どのように脂肪採取するのか、注入するのか、ドクターの手つきや医療器具は思い浮かばなかったでしょう。



横浜市は医療特区に指定されています。実験的な先進医療に挑む裁量は、他の地域に比べ圧倒的に有利です。自由診療、混合医療を許したら「皆保険が崩壊する」「医療倫理より人体実験や利益が優先される」など様々な問題が挙げられていますが、セルポートクリニック横浜は株式会社として勇躍し、1000例前後の実績を挙げています。また、CALは医療費控除の対象にもなっています。

CAL(通称キャル)・・・・・・調べてみましたが、何の略なのかわからないです。数年前に辻直子Dr.の著書を読んだときには、写真にはスモールサイズの完成品しか載っていませんでしたが、現在の講演会などの資料では、なかなかのお胸が作られています。【セルポート】の講演会は頻繁に開かれているので、足を向けて資料収集をすること、そしてカウンセリングを受けることが第一歩となるでしょう。 

Yさんのご経験を伝えるには稚拙なレポートですが、ひとまず締めくくります。

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ご連絡はhdnfn138@yahoo.co.jpまでメールを下さい。

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