『一次一期シリコン再建』をお考えの患者さんへ

 シャロンには県外の遠隔地より、再建についてお声が寄せられます。首都圏の著名な再建ドクターに、お胸を作ってもらったレギュラー参加者がいるからかもしれません。

一度、「一時一期シリコン再建」つまり、乳がん全摘+シリコン挿入の方式について、伺っていることをまとめておきます。

この方式は、エキスパンダーの過程を飛ばし、悪性のものを切除し同時にシリコンを入れる、つまり麻酔から覚めたら、乳がんが消えて奇麗なお胸が出来上がっているという理想的な術式です。しかも保険適用内。ただ、戸惑っている患者達もいるので、ここに投稿することにしました。

 この『一次一期シリコン再建』で左右対称のお胸、つまり以前よりもっと奇麗な理想的なお胸が出来上がった、という写真集は一般の書店において広く出回っています。しかしそれまでの過程が、簡単であるとは言えません。

   まず「左右対称」にするためには、シリコンに合わせて健側(乳がんに罹っていない健康なお胸)を修正する必要がある、という点からお伝えしましょう。

 吊り上げる、削る、縮小する、あるいは豊胸する、いずれにしても、病にかかっていないお胸を修正する手術に、保険は効きません。数十万から百万単位の自費がかかります。

   この手術をする医療機関には、24時間のリカバリー室はあります。が、入院は不可。

  つまり、乳がん全摘手術、シリコン挿入という大手術の翌日、早々に退院することになります。家が近くで、車で送り迎えしてもらえる環境ならまだしも、地方から出向いた患者は、多くの場合、ホテルに投宿する必要があるでしょう。最近、安いビジネスホテルを探したのですが、今はインバウンドの影響で都内は、一泊3万は優にかかるのですね。安静が求められる時期です。一泊では足らないでしょう。

 筆者が地元の病院で、乳がん全摘のオペを受けたのは20年前でしたが、痛みや灼熱感で当夜はほとんど眠れず、その後、何日も浸潤液が溜まりました。術後、どのくらい入院することになるかは病院によってまちまちです。それでも、入院していれば異変のあった時ナースコールを押せる、食事が三度出てくる、病棟トイレまでゆっくり歩く。医師に説かれた「リハビリ体操」を始める等、患者自身の適応努力は、医療の監督下に置かれます。しかし、手術の翌日午前中にクリニックを退院した場合、予約したホテルの チェックインまで、どこで休んでいればよいのか、しっかり考えておくべきです。

 一次一期シリコン再建にチャレンジし、十分な費用と時間をかけて治療と再建を終え、満足している患者さんも数多くいます。

ここで確認したいのは、上記①②のリスクについて、クリニック側から説明された段階で、患者がすっかり飲み込んでいるかどうか、ということです。乳がん告知を受け、体内に悪性のものを持ちながら、すがる思いで辿り着いた医療機関で、十分な説明をしてもらっていても、患者がすべてを頭に叩き込むのは至難です。録音するのも一つの方法でしょうか。

美しい仕上がりの写真集を先に見せられる、というケースが大多数のようですが、お胸の形の修正費用、翌日即退院、のリスクについて理解したかどうかは、患者の主体性にかかっている、とされるのではないでしょうか。

この課題について、公的に声をあげる患者がいなかった理由は想像に難くありません。 

乳房再建とは女性にとって今後の生き方を揺るがす事態です。事を荒立てるとなると、体の傷や変形したお胸の写真を公にしなければならない。

他に、全摘手術は他の病院で終え、後日、乳房再建だけを任せる、という方法なら、日帰りで施術するクリニックはあります。その「日帰り」はあくまでも、悪性腫瘍を完全に除去していることを前提になされているのです。エキスパンダー挿入、シリコン入替、について、訓練されたナースから懇切な説明があり、ある患者は、異変があれば夜中でもいいから医師に写メを送って下さい、と言われていました。

私はここで『一次一期シリコン再建』方式を批判するつもりは毛頭ありません。ただ、美しい仕上がりの写真に惹かれ、即決したい気になっても、患者にとっては一生の問題です。一呼吸置く慎重さが必要だと思うのです。 

きちっと乳がんを治療し、悪いものを取り除いてから 再建方法と信頼できる医師をじっくり選ぶ 『二次二期再建』は時間がかかりますし、12年の間、フラットなお胸でいるのは悲しく、不便なことです。が、安全な選択といえるでしょう。

乳がん告知を受けて動転しない人なんて、いません。でも、今や89人に一人がこの病気に罹る時代です。辛いのは貴女一人ではないのです。

どうか相談出来るルートを活用してください。学び、調べ、後悔はしないという覚悟のもとで『一次一期シリコン再建』にのぞみ、再建したお胸を披露する患者達の列に、誇らしくに並んで頂けるなら、同じ病を経験した者として、これほど嬉しいことはありません。

以上、再建方法の選択の参考にして頂ければ幸いです。



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