両側自家組織再建(放射線治療痕あり)の60歳代女性、見事な仕上がりに感銘を受けました。
今回の参加者は自家組織完成者2名、自家本体のみ完成(乳輪乳頭未満)2名、エピテーゼ作製者1名、エキスパンダー挿入中1名、再建思案者1名、計七名でした。
この日は両側の自家組織再建、Xさんの見事なお披露目でした。片側には放射線を当てていたため、血栓や感染症の心配がありました。加えて帝王切開等で、腹部を幾度か切っているため、非常に難度の高い再建オペになると予想され、何十年分かの症例数を誇る、大ベテラン形成外科医(去年の研修会の講師:牧口貴哉先生のお兄さん株)をお勧めしました。
両側の場合、術後48時間の絶対安静時はただならぬ忍耐を要します。オペの翌朝には普通の食事が運ばれてきます。誰も口に運んでくれないのだから、両脇をしめたまま、体力回復のため工夫して懸命に食べるしかない。それでも低反発性のベッドが快適で腰痛はほとんど無かったと聞きます。
術後の痛みを緩和する硬膜外麻酔は、痛みの強い時だけ、ボタンを押すとピュッと出る装置があるのですね。私が再建した12年前にそのような装置はなく、低血圧の私は硬膜外麻酔を使えずに痛みに耐えました。昨今、「穿通枝皮弁移植」に使えるしっかりした血管をあらかじめ確認出来る『造影剤検査』といい、自前のおへその移植といい(以前は腹部の皮膚をおへそごと胸に移植し、新たなおへそは腹部の皮膚に作ってもらいました)、時代がどんどん進み、再建患者にとって快適な環境が前進しているのは頼もしい限りです。
乳がん手術は悪いものを取らなくては、という切迫感がありますが、再建はこれからいよいよ、辛い治療に耐えたご褒美が付くのだ、という明るい展望です。20年間不自由な思いをしてきた女性が、両方のお胸にしっかりと重みを感じた時の歓びは、察するに余りあります。ご本人のお許しを得て記しますが実年齢は67歳のXさん、普段から筋トレをかかさず、手足の末端がすんなり綺麗で、再建後は目の輝きが眩いばかり、軽く10歳は若く見えました。
乳輪乳頭に医療用刺青(以下、メディカルタトゥー)を入れて完成、のHさんは、血栓ができやすい体質のため、血液サラサラのお薬を飲んでいます。施術前に薬は止めていたものの、やはり刺している間に多少の出血があり、色が付いたのかどうか紛らわしかったとのこと、そこは慎重に、三回に分けて刺すことになりました。忙しい専門職に従事しつつ、仕事と再建の両立を図るには、ご家族の応援があったことでしょう。彼女が初めてサロンに見えたのはおよそ8年前、化学治療中ゆえ、ウィグをつけていらっしゃいました。
懐かしいです。
化学治療、ホルモン療法の副作用で爪が剥がれ、むくみもあったというIさんはリンパマッサージで不思議なほど全身が楽になったそうです。リンパを流してからは下痢と不眠も消えたとのこと。
自由診療で3時間半、1万1千円。これを高いと感じるか安いと感じるか。2週間おきに通っていらっしゃいます。無論、施術とその患者さんの体の相性もありますが、貴重なご経験なので記しました。西洋+東洋医学の双方から優れた効果を頂く知恵を得たいものですね。
ここにクリニック名は明記出来ませんが、お問い合わせがあればご案内出来るでしょう。
お金の悩みはなかなか明かせないものです。筆者は薬や通院費に泣いた時代、基礎化粧品を節約しました。お肌は面倒を見れば見るほど、「もっと、もっと」と我が儘になる、簡単に済ますのが良い、というのが某美容外科医の持論です。無治療になった今でも質素なのは変わらず、基礎は夜だけ使う500円の洗顔石鹸、700円の化粧水のみ。一式2万円もかけていた頃と何も変わらないです。お化粧品のセールスの方、ごめんなさい。
エキスパンダー挿入中の患者さんは夏にいよいよ自家組織本手術です。Xさんの見事な成功例を目の当たりにしたのは、かけがえのない経験になったことでしょう。念のために付け加えますが、再建をしない選択をした方は、それもまた立派な決断だと思います。残念なのは、十分な学びをせず、「綺麗に出来るよ」と安請け合いする医師を信頼してしまうこと、また「再建なんてするものじゃない」と決めつける姿勢なのです。
サロンは毎回、決まった場所で決まった時刻に開催されることに意義がある。主催者側は受け皿を作って待っている、そこに盛る物を与えてくれるのは参加者の皆様です。10年前に患者サロンの基本を教えて下さったピアサポ群馬、2人のT先輩、お元気でいらして下さいね。お会いしたいです。
サクラが散り始めてハナミズキが開き、芝桜が眩しいくらい。もうじき藤の花を楽しめます。「花いかだ」「惜春」、日本には季節の言葉が豊かにありますが、最近は味わう閑もないほど、春秋が短くなりました。皆様、そろそろ食中毒にご注意下さい。
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