2023.2.11 街角サロン 再建の原点にあるもの
今回の参加者は、自家組織完成者2名、自家組織再建予約済み1名、再建思案中3名、術前治療中の方1名でした。
・乳がん摘出+エキスパンダー挿入の「同時」をしている方が一人も居なかったのは、昨今、珍しいことです。
「同時」の後、トラブル無く本手術にこぎ着ける事が出来れば、綺麗に仕上がりますし、最も幸運なルートです。
しかしエキスパンダー挿入中に腋下に転移し、抜去しなくてはならないケースもありますし、岩平佳子Dr.の著書によると、シリコンに入替えて完成した後、シリコンの上から放射線をかけることになり、間もなく皮膜拘縮を起こしたケースもありました。つまりがん切除と同時にエキスパンダーを入れると言うことは、がんの悪性度がどの程度のものか分からぬまま再建に進んでしまうということなのです。
迷いがあったなら、まず治療を優先するのが無難ではないでしょうか。再建よりもまずは治療を優先すること、というのは2018年に群馬で講演して下さった寺尾保信Dr.が明言されたことでした。
下記のアドレスより、寺尾先生の講演全記録をお読み頂けます。
https://charonmaebashi.blogspot.com/2018/09/blog-post_1.html
・両側を全摘されている場合、形成外科医は新たに作る左右のお胸を、デザインしやすいという利点があります。術後の絶対安静は侮れない修行です。が、自家組織再建の大変さは出産と同じで、時間と共に忘れてしまうという体験者のお話がありました。しかし自家組織の再建オペは、両側の血管を繋ぐのに時間が掛りますし、その医師の腕、経験、チームプレーの実績が気に掛かるところです。
・その日、ことに嬉しかったのは術前化学療法(乳がん提出前に抗がん剤治療をして患部を小さくする)をしているNさんが、チャーミングなウィグを付けて参加して下さったことです。よく似合う毛糸の帽子をかぶり、ハッとするほど新鮮な外見でした。辛い副作用の合間を縫って、お元気そうな姿を見ることが出来ました。すでにフルコースの化学療法を終えているMさんによると、治療中はカレー(湯気が出ない程度の温度)が美味しかったそうです。私の時は、お醤油たっぷりの生寿司と冷たいお蕎麦で生き返った覚えがあります。
Nさんには化学療法はまだ何クールか残っていますが、再建を視野に入れるのは心を明るくチャレンジです。でも、あまり先のことを考えすぎず、今、頑張っているご自分と、ご自分の体とを十分評価して欲しいものです。
どのような方式を選択しようと、再建しようと考えられる人は幸せだ、という、ある方の言葉は心に染みました。
サロンの色合いは参加する方々の個性により、様々に変化し面白い。せめて運営側は大きい受け皿になれるよう努めたいと思います。
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