両側乳がんの再建・楽しかったクリスマス会など
12月10日、今年最後のサロンを開くことが出来ました。参加者は自家組織完成者3名、シリコン完成者3名、エキスパンダー挿入中1名、再建思案中2名。
・来年再建の本手術を控えている患者さんはエキスパンダーがとても良い位置に入っています。このサロンでは初めて聞く形成外科医の名前でした。自家組織の仕上がりが楽しみです。
・デリケートな体質の患者さんはナースのユニフォームの柔軟剤の匂いが苦手で、入院中、難儀されたとのこと。柔軟剤の匂いは普通体質の人にとっても刺激が強いので、私の知る訪問看護ステーションは使用禁止にしています。
患者さんの体質によっては、再建手術以外にも注意すべき点が多々あります。匂い、食事、皮膚疾患など。自身の経験を想い起こせば、抗がん剤+制吐剤の投与に1クール7時間かかり、その後に出た食事が湯気ほかほかの牛丼、泣きそうでした。「冷たいお握りが欲しい」と言うと、病院側は固めた白米をお丼に入れて出してくれたのですが、口に入れてすぐに吐き出しました。まったく塩気のない物は、抗がん剤投与後は概して受け付けないようです。知っていたら、塩や梅干しを自分で用意出来たのですが。
・今日のトピックは乳がん手術から20年経っている初参加の患者さんでした。両側を全摘したいわゆる異時性両側の乳がんで、家族制が疑われます。卵巣がんを併発する恐れがありましたが、嚢腫があったためにすでに卵巣は摘出したとのこと。安心しました。再建にあたっては片側に放射線が当たっているため、エキスパンダー、シリコンは感染症を起こす危険があります。また、二度帝王切開しているので、腹部をドナーにするのはリスクがあると一般的には思われます。このケースでは(再建手術を)即座に断る形成外科医もいます。しかし、不可能ではありません。症例数の多い、都内の名医を紹介したところ、すぐに外来予約がかない、何ヶ月か後に両側自家組織の再建の日時が決まったそうです。エキスパンダーは挿入せず、皮膚ごと移植する穿通枝皮弁の術式です。てきぱき情報を得てアクティブに行動する方なので、そのライフスタイルがきっと良好な結果を生むでしょう。仮に術後に何らかのトラブルが起り完成までに時間がかかるとしても、それは決して失敗ではありません。再建は長いチャレンジです。
以前にも紹介した例ですが、ある患者さんは一時ホルモン療法で元気が無くなった時期、健側が小さく下垂したため、そのサイズに合わせたエキスパンダーを入れたのですが、その後とても元気になり、健側が張りを取り戻したのです。すると入っているエキスパンダーのサイズが小さいというアンバランスが生まれたため、医師は大きめのエキスパンダーの入替えを勧めました。乳輪乳頭の完成を見るまで、初めの同時再建から実に7年かかっています。最善を尽くす患者さんの選択力もさることながら、エキスパンダー入替えを進めてくれた医師との信頼関係を羨ましく思います。
再建は決して簡単ではありません。仲間が居るから緊張や苦痛が和らぐのです。サロンに参加して頂くメリットは、その場で経験者と交流出来ること、さらに以降、詳しい情報交換を出来る関係性が個々につながることです。自分の再建が完了してからもボランタリーな気持ちで協力して下さる患者さん達のおかげで、このサロンも間もなく、まる10年を迎えます。
また、クリスマス会でも出た話題ですが、昨今、シルバー世代の結婚が多くなっています。その世代の男性が女性に求めるのは若々しさよりもトーク力らしい。楽しいお喋りのキャッチボールが出来るのは一生懸命生きてきた故の理解力、許容力があるからで、一見、話が面白くとも付け焼き刃はすぐに剥がれるのですから、まず性差を超えて友人になれるかどうか、が大事でしょうか。
そしてこの会食の夜、『統計学的運勢』を研究されているKさんが、参加者全員が今後、開かれる可能性、秘めた能力などを調べてくれました。私達が現実で生かしている能力は氷山の一角です。試練をくぐり抜けた後に豊かな幸いが来て、その後にまたハードルが待ち構えている。人生はその繰返しで都度都度、人は経験を着込んで大きくなって行く。Kさんご自身、この病気をきっかけに転職を決め、カウンセリング系の勉強をし、相手の気持ちが明るくなる物言いの方法を身につけているので、笑いの絶えないひとときでした。
素晴らしいご馳走で歓待して下さったレストラン、「シェ・スナガ」さんに感謝。鰹やいわしのカルパッチョがこれほど美味しいものだとは。今の季節、体が酸味を欲しているのですね。フルコースの料理に心和らぎ、話しが弾みました。銀と緑のオーナメントはアチョさんが都内で仕入れたもの。不思議な輝きのクリスマスツリーを背景に皆で写真を撮り、幸福な夜が更けて行きました。
コメント
コメントを投稿