切らない乳がん治療、患者妊活の助成など 街角サロン(2022/6/11)ご報告
今回の参加者はシリコン完成1名、自家組織完成3名、エキスパンダー挿入1名、再建思案1名、エピテーゼ技師1名 計7名の参加でした。
・7年前に県内でシリコン再建をされた患者さんが、都内の形成外科医のもと、再・再建にチャレンジ、シリコンを抜いてエキスパンダー挿入を果たしました。皮膜拘縮を起こしていたらしく、再建した乳房に長いこと痛みがあったそうです。しかし今回のやり直しで左右対称に美しく膨らんだためか、多少の痛みは残っているものの、気持ちの上でとても楽になったそうです。シリコンの入替えは10年毎ですが、その患者さんは早めに良い決断をされたと思います。入れ替えの場合、エキスパンダー挿入から始めるか、シリコンのみの交換で済むかは受診しなければ判りません。詰まるところ、ご本人の行動力なのだと感じます。今回、エキスパンダー挿入の痛みはほとんど無く、日帰りだったそうです。
・初めて話題に上ったのは、「シリコンは何歳になる迄、入替えるのか」という疑問でした。次の10年目が仮に85歳だったとしたら? そのままにすると悪性リンパ腫のリスクがあるので、抜去しフラットになる選択肢もあるでしょう。
自家組織の再建は体への負担が重いですが、将来的にノーメンテで済むのは大変便の良いものです。
・エピテーゼの技師、ラボ・Kさんがウィッグ(脱毛患者のための医療用カツラ)や、失った体の外見を補う補正具の購入に、補助金を出す市町村が増えていることを教えてくれました。
高崎市、太田市が早かった。補助金の上限はまちまちですが、今では広域で認められています。
・ところで最近、帯状疱疹に罹ったという話を度々聞きます。季節の変わり目に免疫が落ちるのも理由の一つでしょうが、全身麻酔、抗がん剤、ホルモン療法、仕事への復帰、両立等、体に無理をかけている乳がん患者さんにとって切実です。再建術後に帯状疱疹を患ったXさんに詳しくお聞きしました。痛みのみならず、症状が顔に出ると失明しかねない恐い病気です。予防のワクチン注射もあり、罹ってしまったら早期に治療を始めるのがベターなので、どこかにビリビリした異様な痛みを感じたら直ちに受診しましょうね。
・今年も『ぐんまの安心がんサポートブック』が発行されました。
第7章「群馬県の取組」に載った、小児、AYA世代のがん患者さんの妊孕性温存療法助成事業が目を惹きます。抗がん剤治療は精巣、卵巣に強いダメージを与えます。乳がんのホルモン療法とて、10年続けるのが良いと主張する医療者が今もいます。治療が終わってから子供を持ちたいと願うなら、法外な費用をかけて受精卵等を凍結しておかねばなりません。そのための助成金が出るのです。ネットでは【群馬県小児・AYA】で検索出来ます。県内の若いがん患者さんは是非、開いてみて下さい。
そして本日のトピックスの一つは6月8日の東京新聞22面に載った「乳がん細胞を死滅 泥状物質」の記事でした。電磁波を出す岩石を粉砕し、ビール酵母細胞に混ぜて還元性スラリー(泥状物資)を作製、これにがん細胞を漬け込むと酸化しづらくなり、正常細胞を侵すことなく、がんが消えた、と考えられるそうです。五年の内に実用化を目指す、とのこと。しこりの上に湿布を貼るだけでがんが消える展望が見えてきました。
増加の一途を辿る乳がん。遺伝性を疑う患者さんは娘さん、お孫さんが成人された時、切除の哀しみを味わわなくても済むようになる、そう思うだけで救われます。無論、乳がんにも炎症性や小葉がんなど、様々なものがあるので全摘、再建は皆無とならないでしょう。それでも時代は前進している。勇気を与えられます。しかし今の今、異変がある方は間違っても、そのような治療法が確率するまで乳がんを放っておこう、などとは、考えないで下さい。
・梅雨空の下、仕事を終えて駆けつけて下さったSさんにも感謝です。再建の全行程を終えて間もない患者さんは、勘所を掴んだ説明をします。また、ホルモン療法の副作用が辛く、薬剤を変更した患者さんも複数名いました。治療薬が沢山あるのは強みです。以前は再発した患者さんにタモキシフェンを2倍投与する、という病院があり、浮腫みで弱っている患者さんが気の毒でした。
二次会は久々にイタリアンのジムノペティでした。帰りにスコーンのお土産を持たせてくれるサービスも変わりません。そしてあちょさん、丹精した薔薇をありがとう。
楽しく濃厚な一日の締めくくりでした。
次のサロンは通常の日程ではお盆に重なるので第三土曜:8月20日(土)に変更します。どうかお間違えないように。再公示しますので、宜しくお願い致します。
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