最新機械より、医療者の技術 情報リレー2
シャロン・レギュラーさんの乳輪乳頭作製後の近況についてです。患者さんが特定されないよう、ここでの話題は作製後の乳輪の色に絞りましょう。
鼠径部(足の付け根)から皮膚を採って、ぐるりと巻き付け、乳輪を作った方法は私も経験しましたが、術後まもなくは、乳輪の色が濃く感じられます。
患者さんがドクターに確認すると「当初は色素沈着があり、濃く感じるけど、だんだん薄くなる、皮膚の色に近づいてしまうから、むしろ薄めにはなる可能性がある」との答えでした。その患者さんの現在の色は、落ち着いてきているようです。
私の場合、鼠径部で作った乳輪にさらに刺青を足して色を整えました。数年経ってずいぶん薄くなりました。刺青の色が抜け、刺し直しをするのは一般的なことですが、そもそも鼠径部本来の色も薄くなっています。皮膚は引っ越しすると薄くなるのでしょうか?
刺し直しが面倒なら自分で色を付ける方法がありますが、これは内緒の方策なので、いつかサロンでお話しさせて下さい。
折しも、サロン発足当時から協力的な桐生市在住のNさんが、メールでその記事を教えて下さっていたのです。桐生タイムスの編集後記に「機械がどんなに発達してもそれを動かすには人が必要。現状がより良くなるように、経験を生かし伝えようとする人たちから学ぶことは多い」とあり、深い共感を覚えました。
ひと頃、患者の体型を3D撮影し、もっとも相応しいアラガン社のシリコンを自動的に選び出す機械が、一世を風靡するかに思えました。が、アラガン社が撤収した今、巨額を投じて入れたその機械は全く使い物にならないでしょう。実はアラガン社のシリコンが愛用されていた時期にさえ、その3Dが本当に役立っていたのかどうか、気になっていました。全摘と言っても、がんの大きさや位置によって、どの程度切除するかは個々のケースです。残っている脂肪や乳腺の量にお構いなしに、これが最適です、と言われたものを入れ本当に左右対称になるのでしょうか? そこでモノを言うのは機械任せには出来ない、ドクターの勉強量と長年の経験だと思います。最新の機械は「参考」ではないでしょうか悔いの無い乳房再建にはまず、ドクター選びが大事です。但し、「ただ今猛勉強中」の若手の形成外科医については、「あの時、これほどひどいものを作った人が、急に上手くなっている」と驚いたこともしばしばありました。
日々、進化しているドクターのオーラは独特なものです。歌舞伎の坂東玉三郎が「アタシはバカが大嫌いです。バカって伝染するんですよ」。舞台芸術のスタッフに一人でも疎い人がいれば台無しになるのでしょうが、オーラも伝染するのだと思います。
サロン運営が不自由な今しみじみ思うことは、人が集まる喜びは情報交換のみならず、「乳がんを経験したおかげで色々なことが分かった。平凡な日常を送れるありがたみを痛感した。辛いのは自分だけではなかった」等、謙虚な人生観に支えられた、空気の温かさにあったのだ、と思います。
8月14(土)の街角サロンは、県の警戒度に関わらず、県立図書館の使用は遠慮します。公的施設を運営されている職員の皆様のご苦労は、図りがたいものです。
開催の有無、会場については後日のブログをご確認下さいますように。
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