「がん病態栄養専門管理栄養士」という資格:6月12日 電話リレーのご報告
全摘手術を受け、再建を視野に入れるより手前で、ひどく気持ちが落ち込んでいる方からお電話をいただくことがあります。往々にして、食事療法に過度に気を遣われています。「医師から何でも好きに食べて良い、偏らないようにすれば良い」としか言われなかったため、むしろ不安になるのでしょう。良質のタンパクを摂らなければ元気の出る脳内物質は分泌されないし、「玄米しか食べなかったのに、どうして私は再発したの」と聞かれたのはずいぶん昔のことでしたが、今になってようやく「玄米なんて関係ありません」と、ここに書く気になりました(玄米が好きで召し上がっている方は、そのお気持ちが免疫力を作るケースもあるでしょう。百パーセントの否定は出来ません)。
医療の専門家ではないのでおこがましいのですが、食事療法を人からの勧めで、あるいは独断で行い、果たしてクリアな結果が出るのでしょうか。
がん種によっても、進行状況によっても、どれだけの期間、何を摂るべきかは変わって来ます。
ゲルソン食、ケリー食、マクロビオティック食、リビングフード、ケトン食等、根拠のある食事療法は、がんに効く効く、という派手な宣伝をしていません。絶食や野菜、果実だけを摂るのが良い場合もあれば、タンパク質を積極的に摂りたい状況も、その患者さんの病理によります。その食事を止めて、どの段階で次の食事療法に移るのが良いのか、タイミングも鍵になるでしょう。
四十年くらい前、医師の助手にすぎなかったナースの地位向上のために、血の滲む努力をされた看護婦さんたちがいて、今では存在感のある「看護師」さんたちが育っています。
栄養のノウハウとて、治療と同じくらい大切なのに、何故、栄養士さんは出遅れたのでしょう。「私たちは医療の専門分野を担うべきだ、医者の使い走りではない」とナースが主張を始めた時代に、栄養士さんたちが同じような努力をされていれば、現在、あやふやな食事療法で患者さんが追いつめられることも無かったかもしれない、と思ってしまいます。
「乳がん看護認定看護師」が昨今活躍されているように、「がん専門の認定栄養士」という資格があってもいいのに、と思い、サロンのレギュラー、栄養士のHさんに伺ってみると、すぐに調べてくれました。以下、Hさんからの情報の概要です。
『「がん病態栄養専門管理栄養士」という資格があります。この資格を持ってる人は少ないようです。
○X病院ではこの資格持ってる人がおられますが、私が入院していた時、栄養指導はなかったです。緩和ケア病棟があるのでそちらのほうで指導されているのかもしれません。
緩和ケア状態の患者さんは栄養状態が悪くなるので、そのような専門知識のある方の指導は必要ですよね。
追加情報です。ここ最近、がんの栄養指導が始まったらしいです。入院じゃなくて抗がん剤の通院の人に指導してるらしいです。
さらに追加情報です。
会社の後輩管理栄養士さんが栄養士会のHPで認定者名簿を見てみたのですが、知ってる名前はなかったので、学生時代の先生・同級生は皆持ってないようです、とのことでした』。
◎以下ホームページより
平成26(2014)年度より、一般社団法人 日本病態栄養学会と共同して、がんの栄養管理・栄養療法に関する実践に即した高度な知識と技術を習得し、栄養に関する専門職として、よりがんに特化した管理栄養士の育成とチーム医療への連携強化を目的に「がん病態栄養専門管理栄養士:Certified Specialist of Registered Dietitian for Cancers(CSRDC)」の認定制度をスタートしました。
さて、ぼちぼち再建を希望する患者さんが戻ってきているようです。シャロンのレギュラーさんの中には、乳房本体をほぼ完成させ、乳輪乳頭作製を待っている方が何人かいらっしゃいます。
作製した乳頭がへこまないようにする保護材ですが、授乳中に使うニップルカバーを活用する方法もあります。場合によってはサイズと固さに難があるようです。
「メディカル・ラボ」のニップルカバーは乳頭部分が固く、接着部分が柔らかく作られています。装着する時は、乳頭部分をつぶすように強く持ち、ぺたっと着けると陰圧がかかります。作製した乳頭部分がおのずと前に吸い出されるようになるので、具合が良いそうです。
付けていることを忘れてうつぶせ寝をしても問題ないので、助かる、という声も。
ひとまずリレーを締めくくります。
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