脂肪注入による乳房再建のリスク
先日、ある患者組織主催で、脂肪注入再建の講習会が開かれました。Zoomによるものでしたが、とても解りやすかったので、内容を抜粋し、紹介させていただきます。
どの点から解りやすかったかといえば、脂肪注入のリスクの説明が現実的、且つ率直でした。番号を振ったのは、明解にするためです。Zoomの資料はありませんでした。
また、この場合の脂肪注入とは、培養器によって血液や老廃物から脂肪幹細胞を取り出し、生着率の良い脂肪を注入したケースに絞ったテーマです。
1、極度に痩せた人は脂肪の採取が不可能(ある脂肪注入のドクターから、もっと「デブ」になってから来て下さいと言われたという報告が、サロンでありました)。
2、培養させた脂肪幹細胞を注入しても定着率は良くて7割。膨らみが無くなってしまうのは大体、注入後半年の内である。半年経っても血流が保たれれば、まず安心して良い。
3、乳房の高さを出すのは難しい。一度では無理。何度かに分けて注入し、どんなに大きくてもCサイズが限度。
4、欠損部が広く、肋骨が見えている症例では、この手技による再建は難しい。
5、温存後、変形している患部は、放射線照射後1年以上経ってから、施術したい。不可能とは言えないものの、放射線で組織が固くなっているので、定着は難しい場合が多い。幾度かに分け、少しずつ注入し、引きつれを治した例はある(総費用についてはコメント無し。おそらく300万円以上はかかっていると思います)。
6、大きな傷はつかないというのが最大の長所ではあるが、注入した脂肪を定着させるためにも、3ヶ月はマラソン、テニス、など激しい運動で体を大きく揺するのは控えて欲しい。
7、患部の状態によっては、注入は3回から4回が必要となる。
8、(全施術に300万~400万円かかり、7割の定着が最高、という)この再建術に保険適用が望めるとは思えない。保険適用が期待出来るとしたら、50cc程度の、再建修正のための少量注入に限るのではないか。
9、シリコン挿入をした後のデコルテのくぼみ、ペコペコしている局所を埋めるにはこの施術は極めて有効。またシリコンの不自然な見かけをなだらかにする、皺消しをするのにも良い。
10、注入して形を整えても、1、2年の間に乳房内に局所再発する事例があった。2、3年経って再発のリスクが減少してからの施術を勧めたい。
※ここに挙げたのは、脂肪注入が決して夢のような再建手術ではない、という方面からの具体例です。十分に勉強をされた上で踏み出し、乳房全摘手術の数年後、脂肪注入で綺麗に再建(修正も含めて)し、満足されている患者さんも多くいらっしゃいます。
脂肪注入再建については、まだ十分に知られていないので、あえて困難な点に絞り、記載しました。非常に実際的な内容で、良心的な講習会であったと感じます。ご尽力下さった担当の皆様、ありがとうございました。
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現在、新型コロナに感染しているのは20台の皆さんが多いのですね。お出かけしたい気持ちはわかります。でも成人式の日、往来で酒の回し飲みをしていたのを知ると悲しくなります。一生に一度の日なのだから、という言い分には甘えがあるのではないでしょうか。90歳台の身内を心配する者として、重症化する確率の少ない若者が広め、高齢者に移していると思うと、正直のところ恨めしいです。
「年寄りにはどんどん死んでもらって」とテレビカメラの前で言ったのは、麻生元総理でした。誰もがいつか死を迎える。でもいきなりお骨になって帰ってくるなんて。
看取りも出来ない死に方をされる身にもなっていただきたい。余分な独り言、お許し下さい。
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