2020年 八月八日 街角サロンご報告

 

皆様、こんにちは。暑くて暑くて、八日の街角サロンのご報告が遅くなりました。

今回は完全予約制で7名、長机に一名、教室型の配置で情報交換をしました。

 

本日、クローズアップされたのは、ホルモン療法の副作用についてでした。

抗がん剤のような急性の副作用は無いものの、治療は長期に渡ります。以前は二年でした。それが五年になり、今は十年続けるのがよいとされています。

副作用の最たるものは関節痛です。ホルモン療法は乳がんの餌となる「エストロゲン(女性ホルモン)」を抑える治療です。

今は暑い盛りなのでまだ楽なのですが、エストロゲン減少により手指、膝、腰の関節痛、変形に悩む患者は多いのです。

多くの乳腺外科の医師は、術後の補助治療の副作用には、あまり熱心に対処されません。変形性膝関節症、すべり症など、乳がんには関係無いとされますが、実際にはそのような現象が早めに出ているのがホルモン療法を受けている患者の現状です。

冬になるとひどい痛みで眠れない、立ち上がれない、扉のノブを掴めないなどの症状でお困りの方はいらっしゃいませんか?

冷えるとこわばる、痛む、の症状の参加者は、漢方薬:ツムラ18番桂枝加朮附湯 (ケイシカジュツブトウ)更年期障害の症状が早々と出ている参加者は、ツムラ24番 加味逍遙散(カミショウヨウサン)を服用されていました。 

ただし、皆さん、御自身の体質をかんがみて、医師に相談してからお使い下さいね。

乳腺外科だけを頼らず、割り切って、対処療法のために整形外科にかかるのが良い、という経験談に説得力がありました(あの……申し上げづらいのですが、某乳がん患者会のブログに、乳房再建が整形外科で行われている、と書いてありました。形成外科の誤りです。ややこしいでしょうか?)。

関節痛は、痛点周辺の筋肉をつけることで、和らぐ場合もあります。ではどのような方法で筋肉を付ければ良いか。 

テレビ体操、スクワット、ヨガなど、一般的に良いとされているものをそのまま受け入れるのは、危険だと思います。その人の骨の変形から判断するに、結果的に、決してやってはいけない体操であった、という例もあるのです。

整形外科でレントゲンを撮り、骨の形を把握した上で、その人にとって有効なストレッチ、筋肉をつける体操を指導してもらうことを勧めたいと思います。

  以下、サロンに寄せられた情報を列記します。

 ・群馬県内で乳房再建の件数の多い某病院では、最近まで、乳輪乳頭の作成手術はしていませんでした。が、二〇二〇年八月八日に得た情報では、そろそろ始めるそうです。ただし、医療用の刺青は不可、です。よって、スターフラップ(立上げ式)の乳頭作成術を選んだ場合、そこは白いお豆のままなので、刺青は他の施設ですることになります。

 

・コロナの感染リスクがあるので、昨今、患者は再建手術に関しては慎重になっている。これまで極めて多忙で、過労気味だった形成外科医が少し、楽になったのではないでしょうか。某病院では二時間待ちが普通でしたが、最近は時間通りに呼ばれるので、驚く、とのことです。ヨレヨレになっていた気の毒な先生がた、一息付けたでしょうか?

 

・今年四月から乳がん、卵巣がんの遺伝子検査が保険適用され、現在、伊勢崎市立病院でも遺伝子検査(血液採取)を受け付けているそうです。

まず遺伝子カウンセリングです。血液は外注で検査結果を出します。費用は限度額認定の上限までかかります。

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  勉強会ではレギュラー参加者の貸して下さった本「ストーリーで身につく外科センス」寺尾保信 去川俊二共著 (克誠堂出版刊)から抜粋したコピーを配布しました。

内容は、オーケストラの指揮者の役割を引用し、各パートの役割を引き出し、いかに完成度の高い演奏をするか、になぞらえた乳房再建の解説でした。このような話題を取り上げるのは、都立駒込病院がビクともしない実績を誇っているからなのでしょうね。

時間短縮のサロンだったため、各自持ち帰って読んでいただくだけのことでしたが、私はシビアな感想を持ちました。乳房の同時再建(がん切除+エキスパンダー挿入)は、乳腺外科医と形成外科医という、テリトリーの異なる分野の医師の協力体制のもと、行われます。それは患者が努力してどうなるものでもない、病院内の体質によるイロハです。医師同士の信頼関係、コミュニケーションが密であるかどうかで、患者の受ける恩恵は大きく変わってきます。病院内の人事、引き抜きなどは頻繁にあり、定評のある医師がいつまでもいるとは限りません。形成外科医が変わらなくても、外科医が変わっていれば、そのコンビネーションが十分であるかどうか、分らない。

感染対策のため、全員マスクを着用していました。会場の県立図書館の三階は、研究室以外は立ち入り禁止だったので、扉は開放しておきました。ドアノブに手を触れずに済むだけでも、今は有り難いです。

図書館内は、感染防止のため厳戒体制で、見回りの方の影が時おり見えました。

 各自、使った机を消毒し、再度換気をして終わりにしました。このような時期に、会場を使わせていただけるのは助かります。これほど安全な場所はありません。

  乳房再建がブームであった時には置き去りにされていた悩みが、今になって浮き彫りになりました。このサロンが将来、再建情報のみならず、乳がん治療についても、十分話し合える場として機能するよう、心がけてゆきたいものです。

 コロナ対策に、熱中症対策、ああ、苦しい。しかし本日(十四日)、早朝の風には秋が匂いました。

いつかまた、楽しいオフ会で思い切りお喋り出来る日が来ますように。せめて一日、一日、悔いのないよう、生きてゆきましょう。

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