乳房再建:トピックス 2020年2月8日 サロン勉強会資料より
乳房再建 : トピックス
※「シャロン前橋」2020/02/08 街角サロンの勉強会資料より、引用しました。
尚、内容は2020年 1/25「寺尾保信Dr.の講演」(E-bec.ピアサロン主催)をノートした抜粋です。
尚、内容は2020年 1/25「寺尾保信Dr.の講演」(E-bec.ピアサロン主催)をノートした抜粋です。
シリコンインプラントについて
・ツルツルのスムーズタイプが保険適用になったが、昔の悪名高い物とは異なり、腰が強く、品質は良くなってはいる。しかし、何年か後に被膜拘縮を起こすケースがどの程度あるか、経過をみなければわからない。
・自費で米国のメンター社製(マイルドなザラザラタイプ)インプラントなどを輸入し、挿入しても、その後合併症が起こったら、自費で治療しなくてはならない。
・2012年4月のインプラント保険適用後、再建手術の8割以上がインプラントだったが、2019年は自家組織が半数を占めた。
・2020年1月25日現在「しずく型エキスパンダーと円形シリコンが保険適用になっている。
このチグハグな再建への対処方法は、
1)
上部のぷかぷかしたデコルテ部分を脂肪注入で埋める。
2)
バストのアンダーラインを縫い挙げて、しずく型の形を作る。
(全ての形成外科医に出来る手技ではありません)。
今後は大胸筋の上にインプラントを入れ、その上に広背筋から移植したドナーをかぶせる方式も多く取り入れたいとのこと(いわゆるハイブリット再建のことですね。シリコンでも触った感じは柔らかく温かな感触になるでしょう。シリコンは大胸筋の下に入れるのが普通ですが、欧米では上に入れるのが主流だそうです。日本人は乳腺が多いが、欧米人は乳腺より脂肪が多いため)。
また、最近はエキスパンダーを挿入している状態で、腋下リンパ節転移が発見され、エキスパンダーを抜去し、放射線をあてなければならないケースが出てきています(センチネルリンパ生検で白と出ても、その後にリンパに転移する可能性はゼロではないのです)。
このケースで悩ましいのは、放射線を当てて皮膚や皮下の組織が固くなると、再建が難しくなることです。
温存手術で乳房は残ったが、変形が著しいので形を改めて整えたい、と願う患者さんは多いのですが、その場合も、すでに放射線を当てていることがネックになります。
しかし、皮膚の裏に広背筋を敷き詰めると、状態が良くなる可能性がある、とのことでした。
いつだったか、「日本乳房オンコプラスチックサージャリー学会」のホームページで、〈エキスパンダーを入れたまま、放射線を当てつつ、少しずつ膨らませてゆく方法もある〉というような記載があった気がしますが、実際に患者さんの再建にあたっている形成外科医が、このようなやり方を指示することは、もうないのではないでしょうか。炎症を起こして真っ赤になっている患部が思い浮かびます。
数年前に試みられていた方法はどんどん「昔」の事として過ぎてゆきます。それが今の乳房再建事情なのです。講演会会場には、12月のサロンに参加され、いろいろな事を教えてくださった患者さんが、スタッフとして活躍されていました。
コメント
コメントを投稿