令和元年最後のサロン ご報告




  今年最後のサロンは初参加の方6名、県外からは7名の方をお迎えしました。



エキスパンダー、シリコンが一気に撤収されてからの数ヶ月、自家組織による再建が増え、様々な症例が報告されています。


予想外の深刻なアクシデントに見舞われたケースもあり、それは稀ですが貴重なお話しでした。具体例を記すと病院や患者さんの名が特定されるのでここでは明かせませんが、私は当の患者さんの冷静さ、芯の強さに驚きました。自分が同じ立場だったら同じように乗り切れたかどうか判りません。  


彼女はカルテ開示を求め、検査データやオペ中の写真をきちっと整理して、今後のサロンに役立てて欲しいとファイルを残して下さいました。その上、ご自分の事情にのみこだわらず、自家組織再建が増えたため過労で倒れそうになっている形成外科医の体を心配しているのだから、流石です。 


 近々乳がん切除、再建を控えている新人さんが積極的に質問し、経験者がバシバシと応えている光景は、白熱したキャッチボールでした。この日はシャロン始まって以来の、様々な経験者達に恵まれました。遠くから参加して下さった皆様、有り難うございました。


また昨今、多くの患者さんから聞かれるのは、再建後の職場への復帰がいつになるかという懸念の声です。
乳がんにかかる年齢は、仕事のキャリアを背負っている時期です。周りに迷惑がかからないよう、手術前につい頑張りすぎてしまうのです。きっと職場で物凄く頼りにされているのでしょうね。
でも挙げ句、血栓の出来やすいコンディションとなり、集中治療室で缶詰にされた患者さんは、自分と同じ轍を踏まないようにと、熱心に語ってくれました。※ホルモン療法を受けている場合、血栓が出来やすいようです。病院によっては再建の一ヶ月前から服用を止めるよう、指導しています。



まずは術前にゆったりかまえ体調を整えておきましょう。何と言っても、大手術なのですから。 

切実な投げかけは続きます。東京都内の再建講演会で最新情報をキャッチしたSさんによると、撤収されたアラガン社のシリコン、エキスパンダーは実は最良の品質であったとのこと(形成外科医、岩平佳子先生のお話から)。

悪性リンパ腫の発症率は、分母が曖昧でした。外国人女性が豊胸のために使った摩擦面の広い大きなシリコンが、発症率を上げたのではないかという疑問が拭えません。

この秋、大急ぎで保険適用されたのは、なみだ型のエキスパンダーとラウンド型(まん丸)のシリコンでした。朗報でしたが、形がチグハグです。結果、デコルテ部分がペコペコしてしまうのではないでしょうか?その上、被膜拘縮を起こしやすい、ツルツルした昔タイプの仕様です。 

サロンの皆さんは、もう少し様子を見ていようという、落ち着いた雰囲気でした。

 

 明るい話題もありました。臀部からの再建経験者が来てくれたのです(腹部、背中以外のドナーを使えるのは、佐武利彦Dr.だけです。もしくは一番弟子の武藤真由Dr.可?)。体感会では、腹部のドナーより張りのある、若々しい再建作品のお披露目でした。
 

 この日は、遺伝性の乳がん患者さんのために新たな保険適用のニュースが各新聞誌面に大きく取り上げられていました。
それを次回のテーマとして、ひとまず、締めくくります。

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