『「シリコン乳房」自主回収』の報道



726日(金)の朝日、読売新聞等をご覧になり、驚いた方は多いと思います。

シリコン(人工乳房)で乳房再建した患者さんが悪性リンパ腫を発症する事例が伝えられ、米国で三十三名の死亡が確認されました。今のところ、国内での死亡は三万人の再建患者のうち、一人、ということになっています。

シリコンを埋め込んだ周りに悪い水が溜まり、死に至るケースが海外であったという情報は、サロンでも話題になったことがありました。

国内でその症例が確認されたことを、日本乳房オンコプラスチックサージャリー学会が発表しています。

日本で保険適用されているシリコンはアラガン社製のみ、アラガン社はシリコン,エキスパンダーの自主回収を始めました。しかし対象の製品は最新の「テクスチャー」タイプのみ、です。

現在、エキスパンダーで皮膚を伸ばしているシリコン挿入未満の患者さんのお胸には、昔ながらの「スムース」タイプが入るようになるのでしょうか。となると、術後のマッサージなどが必要になります。いずれにしろ、再建患者さんが殺到しているシリコン再建の医師のもとでは、シリコンはサイズを測っての特注ですから、大変な混乱が予想されます。

また、シリコンか自家組織かで迷っている方の判断材料にもなるでしょう。

28日にKSHS全国大会が開催されますが、このトピックを是非取り上げていただきたいものです。おそらくは「センセーショナルな話題作りをして、騒ぎすぎだ」「確率からすれば、なんぼのものだ」「慌てて自主回収する必要があったのか」等、患者さんを安心させるマイルドな発言が飛び交うことでしょう。

現段階では、テクスチャータイプでシリコン再建した患者さんは、一、二年に一度は検査を欠かさずに、との呼びかけに留っています。

でも落ち着いて考えてみれば、乳房再建はシリコンであれ自家組織であれ、リスクを伴います。結果は患者さんの体質にもよります。

マスコミの話題作りに乗せられず、冷静に対処しましょう。


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