平成30年 今年最後のサロンのご報告


街角サロンでは勉強会を再開しました。

患者側が医療チームに対し不満を抱くことは頻繁ですが、今回のテーマは医療チームから見て、自分はどのようなタイプの患者であるのか、という振り返りです。

大ざっぱに分けると患者は以下のようなグループに分けられるでしょうか。

タイプA=再建についてあらかじめ勉強し、自分のライフスタイルをしっかり把握して、自分に合った術式を自分で決められる患者。それを叶えてくれる病院を狙い撃ちして、外来受診し、質問すべきことをまとめておく。
医師との信頼関係を築くのに、自ら努力している患者。

タイプB=先生にお任せします。先生のおっしゃる通りにします。信頼致します、と椅子に座っている素直なおとなしい患者。

タイプC=タバコは止めない、体重管理もしない。しかし自分の求めることははっきりしている。要求の強い患者。

タイプD=医師がどのような提案をしても、なかなか決められれない。情報の取り方がわからず、途方に暮れている患者。

勉強会ではBCの定めが曖昧でした。したがって「自分はタイプDだった」と省みる参加者が少なからずいました。

でも、多くの患者さんがタイプDなのだと思います。どんなに優れた医療チームのお世話になっても、その説明だけでは患者は自分の再建方法を決められません。

再建サロンが、お役に立ちたいと願っているのはそのためです。

 
 乳がん切除と同時にエキスパンダーを入れれば、麻酔から覚めたときにすでに膨らみがあるので、喪失感はないでしょう。再建完成までの過程が順調ならば、同時再建は理想的なケースです。しかし最近になって、エキスパンダー装着中に、放射線照射の必要性が出てきた、どうしたら良いのか、というケースも多くなってきました。

同時が良いか、二次が良いか、それは個々人の結果を見なければ判らないことなのです。その病院の事情によって、「(せっかく同時再建が出来る環境を整えたのだから?)、同時にエキスパンダーを入れた方が良いです。私が患者だったら、絶対にそうします」という具合に看護師さんが押してくるケースも、最近はあるようですが。

 
 自分はA~Dには当てはまらないという方もいました。「曲がりくねった過程を踏んだSです」とのこと。私に云わせればスペシャルのSです。人がなかなか経験できないことを実体験出来るワクワク感があったというのですから、素晴らしいですね。波瀾万丈の『再建人生』を経て、彼女は心強いサポーターになってくれています。

 
 自家組織による再建の日程が決まっている患者さんが、この日は4名参加していました。ある方は横浜の病院に電話した段階で、外来受診が9ヶ月待ちだったそうです。彼女はそこで断念しませんでした。しっかり9ヶ月待って受診し、術式を決め手術日を確保し、いよいよ来年が本番です。

 
 今年一年を振り返り、特記すべきは、『E-Bec』『SOG』『KSHS』などの講演会に、シャロンの参加者が積極的に足を運ぶようになったことでした。

いつか枝分かれし、個性的な再建サロンが群馬県内に新たに生まれるかもしれません。楽しみです。

寺尾保信Dr.の講演会を開催し、患者さんの力になれたことは大きな喜びでした。けれど私の心に痛手を残したのは、参加者のお住まいのアンケートでした。都内の講演会まで足を伸ばせない、奥の地域からも来て欲しかったのですが、吾妻や利根方面の患者さんの参加はほとんどゼロでした。一方、台風さえ来ていなければ、京都、兵庫から行くつもりだった、という声もありました。よく解りました。距離の問題ではないのです。

地域によっては未だ再建に偏見があるのでしょう。シリコン、自家組織の再建が保険適用になっていることさえ、ご存じない患者さんが沢山いるのだと思います。 

 
  それからもう一つ、サロン主催者としての反省点が一つくっきり浮かんできました。初参加の方には配慮しているつもりなのですが、「初めてここに来たときは、専門用語が飛び交っていて戸惑った」というホンネが聞かれました。専門用語が参加のハードルを高くしてしまっていることは、問題視しなければなりません。

でもこれからは大丈夫です。寺尾保信Dr.が残して下さった『乳房再建 基礎用語』の資料が強い味方です。

 
  クリスマス会ではお料理をいただきながら、【アンゲーム】を楽しみました。カードを引いて質問に応えるゲームです。「私は○○が待ちきれません」「私は○○をしている時が一番幸せです」などの○○を埋めてもらいます。「10日間休みがあったら何をしたいですか?」という質問もありました。乳がんや再建から離れ、その人の意外な一面を知るきっかけになりました。

サロン内では、パーソナルな質問(結婚しているのか、仕事はなんだ、子供はいくつだ、という会話)はご遠慮下さい、とお願いしていますが、その人自らがプライバシーについて話し出すタイミングは自由です。30歳代独身だと思っていた綺麗な女性が、実は子供を二人育てあげた50歳代のキャリア復帰ウーマンだったと判り、一同、たまげました。

 
  途中、料理長がお顔を見せて下さいました ロングサンドホテルのお料理の秘訣はあくなきチャレンジです。料理長は同じような料理ばかり作っていると飽きるので、レシピを残さず、思い立った料理をその都度、試みてゆくのだそうです。メインディッシュの牛ヒレにかかったソースはきのこを粉砕して煮込んだものでした。レシピがあっても、きっと真似られない味なのでしょう。

この日のお土産は『ラボ・K』からのお菓子の包み、あちょさんからの黄色い林檎でした。

 
  今年も素晴らしい恵みの年でした。来年は地固めとなるか、飛躍となるのか。サロンは一人一人のための居場所です。親御さんの介護、お仕事、受験のお子さんの心配など、様々に忙しい皆様、いつでも思い出して下さいね。

来年初回のサロンは29日(土)14時~ 群馬県立図書館 3階研究室にて。

 
  皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。

 

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