H28年 12月10日 街角サロンのご報告
今年最後のサロンは10名の参加、内、初参加の方が4名でした。
今回は再建完成Oさんのお祝いムードでした。乳がん告知ときの心境から、エキスパンダー挿入、シリコン入替、乳輪乳頭作成まで、タイムリーな報告をシャロンのブログに寄せて下さいました。閲覧数が群を抜いているのは、主観だけではない痛みや後遺症、手術時間、費用など詳細なデータが求められているからなのでしょう。
Oさんは樋野興夫著『「がん哲学外来へようこそ』」(新潮新書)から引用し、「無愛想でも腕の良い医者にかかりますか、愛想が良いが下手な医者を選びますか」と問いかけました。皆、首を傾げていたのですが、これから再建の医師を選ぼうとしている人達は、『愛想は良いが下手な医者』の方に心が傾いてしまうかもしれません。再建を前に過敏になっている時、温かい言葉で包んでくれるドクターに心許したいのが本音です。
しかし、答えは否。樋野ドクターによる正解は「無愛想でも腕の良い医師にかかりなさい」でした。
云われてみれば再建の名医達は、言葉少なでぶっきらぼうで、いざとなるととことん面倒見てくれる頼れる先生達です。そしてその周囲を素晴らしい協力者が囲んでいます。看護師たちの勉強量と仕込みも半端ではありません。
県内でも乳房再建の症例数を着実に増やしているドクターがいます。そのドクター達は他県の病院で再建のキャリアを積み、今の場所に招かれた方達です。師もなく難しい実習もなく、初めから上手な再建手術が出来るはずありません。「そんなことを言っていたら、現在の名医以外にはベテランが育たない」と思われるでしょうか。しかし名医達は後続の医師に手技を伝授する気は十分です。待ち構えているのです。
医者選びに迷っている人には、専門家と出版社が責任持って監修している、確かな本が必要です。『乳房再建のすべて』佐武利彦著(講談社刊)、『乳がんを美しく治す』佐武利彦著(扶桑社)、『これからの乳房再建BOOK』岩平佳子著(主婦の友社)、『乳房再建 ここまでできる』岩平佳子著(健康ライブラリー)などを、サロンでは紹介しています。青字の本は品切れになっていますが、アマゾン古書で手に入ります。『乳房再建 ここまでできる』は10年前、私が乳がんに罹患した時に友人が見舞いに持ってきてくれた本で、痛ましい再建の失敗例がふんだんに盛られ、この手術がいかに難しいかを当初から叩き込んでくれた良書でした。
以前にある患者さんから「中身がない気がして、読まなかった」と返され、ショックを受けました。自分にとって都合のよい中身だけが書いてある本は、どこにもありません。
再建を成功させる秘訣は《自分で自分のマネジメントが出来る》ことかもしれません。
さて、『E-BeC』のホームページからの紹介です。「乳房再建手術経験者の声」を是非、閲覧して下さい。とりわけ千葉県のE・Mさんの体験談からは自分の求めるものをしっかり固め、迷いや不安を打開していった行動力が伝わってきます。以前にTamTamさんから教えられ、すぐに視聴して感動しました。あれやこれやで紹介が遅れてしまったのが悔やまれます。E・Mさんにはお会いしたことがあります。ニコニコしているだけで不思議と存在感のある女性でした。
サロンもそれなりに試行錯誤を繰り返しています。参加人数が多ければ視野と話題が広がり、少人数ならじっくり向き合える。今回の驚きは、感染症を起こしエキスパンダーを抜去した初参加の方が、その患部の痕を見せてくれたことです。勇気の要ることだと思います。サポーターの資質に恵まれた人達のいるサロンは、率直で闊達な空気に包まれています。
どんなに情熱と善意があっても、ピアサポートは一人で出来るものではありません。各地の患者会やサロンが手を携え、人脈という宝を蓄え、広い深いプールで豊かな活動が出来るよう、来年もご協力いただければ幸いです。
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