Oさんより『乳頭作成』レポート:いよいよ完成♡
9月17日
今日、いよいよ乳頭を作る。健側の乳頭を移植する手術だ。
・平成25年12月に乳がんで左乳房全摘。
・27年8月にエキスパンダー挿入術
・28年5月にシリコン入替術
・同年7月に刺青で乳輪再建
・そして9月、ようやく今回の手術が最終で、乳房再建術が完了となる。
乳がん切除、エキスパンダー、シリコン挿入、と今まで3回の手術は全て全身麻酔だったが、乳頭移植は初めての局部麻酔だ。
手術台に上がってから,消毒も含めて手術の準備など医療チームの声もが全て聞こえる。自分で選んだ乳頭移植手術だったのに,健康な乳頭を切り取ることに抵抗感がぬぐえず、土壇場になって、「やっぱり止めたい」という心の声が聞こえてくる。
緊張感と恐怖心がピークになったところで、岩平先生の入室。
「局部麻酔は痛いのは2秒なので,その間だけ我慢してくださいね。手術は15分で終わりますよ。話はしていてかまいませんよ」と言ってくれる。
確かに麻酔は痛かったけれど,針生検の痛みに比べればたいしたことはなかった。
そう先生に話すと、「皆さんそう言いますね。おそらく針生検は癌かもしれないという不安な気持ちがさらにそのような痛みを増長させるのかもしれません。乳腺外科は乳房を切り取り、患者さんが元気をなくすけれど,私たち形成外科は再建して患者さんに喜ばれ、元気にさせるからおいしいところをもらってますね」と雑談しながら、あっという間に乳頭を切り取り、欠損部を縫い上げていくことがわかる。
そして移植側へ。かかった時間は確かに15分だった。
局部麻酔は身体へのダメージがないので,手術台から降りて、身支度を整えて終了。
両胸に当てられたガーゼは2週間後の抜糸まで絶対に濡らすことは厳禁。ぬれると壊死してしまう。私は皮膚が弱くてテープにかぶれてしまうので、痛みよりもかゆみとの闘いだなあと思う。
帰りの電車で切り取られた乳頭が痛み始め、さらにもう片側が痛くなってきた。ほとんどの人が痛み止めは服用しないとのことで、もらった痛み止めは一錠だけ。がまんできないほどの痛みではなかったけれど、就寝前に服用。
朝には痛みはなくなった。
移植手術から一週間後、ガーゼ交換のために通院。本当は抜糸までこなくてもいいと言われたけれど、皮膚が弱いので、かゆみ止めの軟膏を塗ってほしかったために受診した。
ガーゼを外して初めて見た乳頭。切り取られた方はちょっと小さくなっちゃったかなと感じる程度。
移植した方は糸がたくさんついていたけれど,皮膚にくっついているだけでとても頼りない。「これって壊死してるのでは?」と不安になった。けれど、ドクターは「ではまた来週、抜糸になりますね」と言っただけ。
濡らしてはいけないというプレッシャーと、二週間お風呂に入れない不自由はかなり大きい。下半身浴は血行が良くするので、傷が生々しい間はしないほうがよいと言われている。シャワーで下半身を洗い、洗髪するだけ。背中やお腹はタオルで拭くのみ。
「2週間は長いから皆さん、夏は避けますよと言われたので、9月中旬を選んだ。確かに正解だったと思った。これ以上涼しくなるとシャワーだけでは寒くて身体が冷えてしまう。
乳頭移植は春か秋がオススメです。
ようやく抜糸。2週間は長かった。抜糸した乳頭はやはり皮膚にくっついているだけで頼りない。これから一ヶ月間はスポンジで乳頭の周りを保護してブラジャーをつけることになる。2週間たったら,陥没を防ぐためにお風呂で乳頭をつまむマッサージをするようにと言われる。
乳頭の手術のおかげで乳輪の刺青が薄くなっている。刺青は抜糸から一ヶ月後の受診に合わせて、再度行うことになった。
乳頭再建の部分は、あらかじめ皮膚に少し傷をつけて、その上に移植するそうだ。すると毛細血管が自然と伸びてきて一体となるのだという。人の身体って不思議だな。
形成外科ってすごいです。抜糸(片側10本ずつくらい)後は,まったく傷口がわからない。三分の一くらい切ったはずなのに、移植した乳頭のほうが大きく感じる。手術したせいで乳輪が薄くなってしまった。だから再度刺青するというのは納得できます。
全てが順調に進んだこと、予約通りに受診できたこと、は自分の体調はもちろんのこと,家族の理解と協力によるところが大きい。それから週末に治療できて(平日の通院は1回のみ)入院もせず、仕事を休まなくてすんだこともありがたかった。
ガン保険に加入していたので,刺青以外は全て給付を受けられたのもありがたかったが、乳房再建が保険適用になっていることは、限度額適用制度が使えるということだ。たとえ生命保険に入っていなくとも、さほど大きな出費とは言えないと思う。治療が始まったのは昨年の8月(エキスパンダー挿入術)で、19回通院したのだと思うと感慨深い。
おとなの休日倶楽部を利用し,新幹線は手術の日だけにしようと自分なりの決めごとをして、交通費を節約したつもり。往復の時間はたっぷり読書をして、あとは都内の美術館巡りを楽しんだりできたので、遠距離の負担感はなかった。
治療に対する不安はあっても、治療するたびにきれいな乳房になっていくことが何よりの励みとなった。
再建はあくまでも自分で決めること。十分考えて、信頼できるドクターに委ねることが何よりも大切だと思っています。
11月5日の受診が最終になります。
乳頭移植のスポンジが取れた日のコメントを待って、これまでの一連のレポートをまとめ、「読み物」としてアップさせてもらうのが楽しみです。
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