乳房再建「勉強の順序」 15回目サロンより


今回のご報告は二回に渡ります。

15回目の街角サロンでは、シャロンのお世話役、頼りになる「あちょさん」が、≪KSHS≫で親しくなったKさんと、《ももいろ一期一会:通称ももいち》のオフ会仲間、Mさんをお招き下さいました。

Kさんは自治医科大付属病院の形成外科医、宇田宏一ドクターによる穿通枝皮弁の再建。いかにも温かい自家組織の仕上がりです。お話しを聞いて驚いたのは、『穿通枝皮弁』の術後6時間には歩くことを許可されたという事でした。私の主治医、佐武ドクターの場合、初めの頃の絶対安静は術後24時間だったそうです。その後、すべての患者が48時間方式に変わりました。ドクターの経験や手技、何を重視するかによって、同じ『穿通枝』でも治療環境は様々なのですね。

宇田ドクターは最新のブラバ再建も行っているそうです。アクセスを見ると、栃木県の小山駅から東北新幹線で二つ目が自治医大駅でした。小山駅は両毛線の終点駅、桐生、伊勢崎方面の患者さんにとっては馴染めるルートです。

そして私が堅く信じていたドクター選びの条件を、これまた見事に覆してくれたのがインプラント同時再建のMさんでした。彼女の乳腺外科医は千葉県野田市の江戸川病院:田澤篤ドクターです。再建手術は週に一回出張してくる東京女子医大の櫻井裕之ドクター。自分がこの病院の再建一号患者であっても良い、とMさんに思わせるだけの誠意がドクター達にあったのでしょう。むろん、Mさん自身がきちっと再建の勉強をしていたので、説明を聞いて信用できると踏んだのです。

[勉強の順番]をMさんにお聞きしました。情報氾濫の時代にあって、これは大事なアドバイスです。

  図書館や書店で最近出版された乳がん、再建の本を捜す。客観性の高い公的な読み物を選択する(NHKの別冊『きょうの健康』-乳がん特集-や、日経BPムック『乳がんと言われたら』『患者さんのための乳がん診療ガイドライン (金原出版)2016年度版 』などがこれにあたるでしょう。金原出版のガイドラインは二年に一度、内容が更新されます。ムックは新しく出るたびに、私も買っています)。
②ブログ、ネットを調べ、実績のある再建ドクター名を検索する。
 そのつながりで、最新の動画のセミナーを視聴することができます。(『NPO法人 キャンサーネットジャパン』や、『アピタル乳がん夜間学校(講師:岩平佳子ドクター)』は内容が充実しています。
視聴するとき、患者が心得ておく注意事項を聞き逃さないようにしましょう。名ドクターたちは再建のリスク、シビアな面も、きちっと挙げています)
 その後、オフ会や患者サロンで経験者の話を聞き、実物のお胸を見る。

③ドクターと向き合い、しっかりと説明を聞く。


 そして毎年夏に開かれるKSHS(きちんと治療、本音で再建)の全国大会などに、足を運ぶのも理想です。多くの仲間たちに出会えるでしょう。  
 この順番を崩すと患者さんの心境は混濁するかもしれません。初めにドクターの説明を聞いて手術日を決めてしまうと、その後サロンで実体験を見聞きし不安を感じても、病院を替えるのが億劫になる。本を読むと怖くなるから余計な知識は一切入れなくなる。その時点で疲れてしまっているからだと思います。
 それでも幸運な結果が待っていれば良いのですけれど。


 
ある病院では、形成外科医が患者の症状を診ることもなく、看護師が患者の病歴を聞いて希望の再建方式を受け入れ、手術日を決めてしまう事例があります。これを聞いたKさん、Mさんはきょとんとしていました。

本も読まず、ネットも調べず、ドクターからの説明だけを聞いて再建を決めるのは危険だ、と一度ならず書いてきたわけですが、ドクターが診ることもせず、看護師が手術予定日に○を付ける…。看護師さんの役割は重要ですが、どんなにドクターが忙しくともそのやり方は違うのではないでしょうか。
電話やメールで相談を受け付けている再建の名医でさえ、「それでは患部を見ますから、○月○日に来てください」という流れで、方針を決めてゆきます。診ないことには始まらない、が常識です。 

ここから先はとても書きづらいことですが・・・・・・。再建をお考えの患者さんのための記述です。 
放射線を当てた全摘の皮膚が、まだ突っ張って痛んでいるのに、エキスパンダーを入れる日取りが決まっている、というケースは複数ありました。感染症を起こす割合は4割。それどころか、皮膚が破れてしまいます。普通のお胸を「生卵」に例えるなら、放射線後は「ゆで卵」。ゆで卵の中に風船を入れて膨らむでしょうか。
放射線後にエキスパンダーを入れて、成功した例は確かにあります。けれどそれはドクターが慎重に、ゆっくりと事を進めた結果の、好事例です。「エキスパンダー? 入れられるよ」と看護師さんやドクターは言うかもしれません。が、「満足のゆく再建ができるよ」とは言わないはずです。 つづく


乳房再建ネットワークシャロン前橋」HP http://charon.webcrow.jp
次回の街角サロンは 8月13日(土)午後二時からです (ケアホーム愛(まな)の家:交流室にて)

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