ピンクリボン@桐生 御報告
乳がん受診率の向上を切に願う、桐生市のフェスティバルです。平成27年11月23日、重要伝統的建造物として保護されている煉瓦造りのホールで開催されました。
ジャズコンサートとのコラボのおかげで、いっそう魅力的な催しになりました。ボーカリスト宮原美絵さんの女性ファンが、唄を聴くために他市から来ていました。
ジャズコンサートとのコラボのおかげで、いっそう魅力的な催しになりました。ボーカリスト宮原美絵さんの女性ファンが、唄を聴くために他市から来ていました。
『パネルディスカッション』では阿部聡子ドクターが、乳がん治療のために幾ら治療費がかかるのか、ステージ別に示して下さいました。無論、保険と高額療養費制度で患者の負担は抑えられますが、ケースによっては数百万の税金がかかっているのも事実です。
政府が「がん対策」にこれだけ力を入れているのは、労働人口が激減している今、検診で早期から治療を受け、仕事に復帰し納税者に返り咲いてほしいからなのです。
だとしたら尚のこと、雇用主は病気を理由に肩叩きするのを辞めてほしいです。がん患者が早期に治療を受ければ、多くの場合、それまでのキャリアを活かして働けます。
だとしたら尚のこと、雇用主は病気を理由に肩叩きするのを辞めてほしいです。がん患者が早期に治療を受ければ、多くの場合、それまでのキャリアを活かして働けます。
幸い、私のお勤め先の強い味方はがん患者さんです。短時間勤務ではありますが、お帽子とマスクで感染症を防ぎ、具合が悪くなったらすぐに横になれるよう、宿直室にはベッドがあります。化学治療を再開することになっても、気分の良い時、週に1、2時間出勤してもらい、経理業務を片付けてもらえば助かります。闘病しながらも社会参加を続けたい彼女とは、ウィンウィンの関係。その有能さを見るにつけ、何か資格を取ったら忘れないうちに実戦ノウハウを叩き込み、将来何が起こっても「稼ぎ」につなげられるよう、自分を鍛えておくことが肝心だと思います。
次に、新井敏子技師がマンモ検査について解説。実行委員の一人でもある新井さんは医療者向けの専門書を著わしています。「マンモは痛い」といわれるが、痛いと思われるほど平らにして撮影しなければクリアーな画像が撮れず、検診も無駄になるとのこと。技師とて悪いものを見落とすまいと必死なのです。新井さんの囁きかけるような静かな声がすっと入ってきます。一年毎に経過観察していた受診者の画像に、とうとう乳がんの影が発見された一枚を見た瞬間、会場は緊張しました。
参加者からは「一度もマンモ検診を受けていないことが後ろめたくなった」「とても判りやすかった」「主催者の思いが伝わるフェスティバルだった」等など。
私は「乳がん体験者」の語りの担当でしたが、医師とマンモ技師の話がこれだけ充実していれば、あとは脱線もOK、と腹を括り、乳房再建医のウラ事情、エピテーゼ(装着乳房)作りの良心的な業者の固有名詞などを、ふんだんに提供して話を締め括りました。
しかし大事な引用を一つ忘れていました。
『トークショー』の時間枠で、司会の高木富美子さん(NPO乳房健康研究会)に話を振ってもらえたおかげで、予定通り、映画を紹介することが出来ました。
題名は「べルサイユの子」。ホームレスの若い女性が長旅の末、支援者にたどり着きます。社会の汚れを知り尽くしたソシアルワーカーには、圧倒的な包容力がありますが、慰めやおだて、相手を甘やかすような言葉は一切ありません。
「ゼロから始めるの、まず勉強から。仲間がいるわ。難しいのは自分に起こった変化を受け入れることなの。何カ月も、時には何年もかかることがある。やってみる?」
ホームレスの女性は介護の仕事につきます。不慣れな手つきで老女を抱きかかえた時、「あなたは素晴らしい人よ」と囁かれる。病院の慰労パーティーで、その老女の夫からダンスを申し込まれた時、初めて若い女性に笑みが浮かぶのです。
彼女は4歳の実子を森に置き去りにした過去があり、その子を探して迎えに行くまで、さらに長い時間がかかりました。
『あなたを捨てたのではありません。再び会うためでした……今なら何でも答えられます。何が聞きたい?』 育ての親の元で反抗期を迎えていた少年は、実母からの手紙を読もうとしません。手紙から目をそむけて夜の町をさまよう少年の前に、不意に車の扉が開きます。星の映る湖面のような母親の眼差しがクローズアップされ、幕が下りました。
勇気を出して検診を受け、乳がんの告知から長い道のりを歩む患者さん達に、お贈りしたいソシアルワーカーの言葉、そしてラストの場面です。
桐生市の有志たちが旗揚げした、このピンクフェスティバル、初の開催で118名が集まったそうです。
桐生市の有志たちが旗揚げした、このピンクフェスティバル、初の開催で118名が集まったそうです。
ジャズライブでは演奏と男性ボーカルの巧さに、そして楚々としたうら若い宮原美絵さんの太い強い声に驚きました。彼女自身が5年前に乳がんに罹っています。
桐生という伝統あるしっとりした町に、これだけのことをなし遂げられる基盤があるのですね。
『桐生ピンクリボンプロジェクト』の皆様、協力者の皆様、素晴らしい時間をありがとうございました。
イチョウの葉が金色に光る初冬の午後でした。確かに灯ったピンクリボンの運動が、これからも長く、おおらかに、続いてゆきますように。
シャロン前橋の街角サロンは12月12日(土)午後二時、会場はいつも通り、愛(まな)の家の交流室です。女性なら、どなたでもお気軽に。
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