乳輪乳頭作成 手術当日 (スターフラップ+鼠蹊部)
2015年
2/27(金)手術当日
手術時間は、Xさんが9時から10時半。
私が10時半から12時までの予定。
朝一で看護師さんが弾性ストッキングを履かせてくれた。爪で繊維をつまみ上げ、圧を均等にしている。
「患者さんがご自分で履こうとすると、普通のストッキングのように伸ばしてしまうから、意味がない」とのこと。
青い手術着とガウンでスタンバイ。下着はショーツのみ(手術が終了時、T字帯を付けて出てくる)。
付き添いのIさん、9時頃到着。下町育ちの彼女は噺家のような笑い話をたくさん持って来てくれる。手術の説明書きを見せてお喋りしていると、Xさんの手術が早めに終わったので10時に手術室に入りましょうと言われ、慌てた。
オペ室にはモーツァルトが流れていて(Xさんはハワイアンだったそうです)、ルビーレッドのユニフォームのナース達がニコニコと出迎えてくれた。「眠っているうちに終わるからね」と佐武ドクターのお声。
手術台に横になって、心電図、体内酸素、血圧の測定。健側の腕にチクッと針が入り、吐気止め、痛み止めを兼ねた柔らかい麻酔がきいてきた。すっかり眠ってから、人工呼吸のための管が口から入る。
麻酔が効いている間、夢を見たのは初めてだった。内容を覚えていないのが残念だが「○○さん、管抜きますよー」と声をかけられた瞬間も、言いようのない楽しい思いが残っていて、もっと眠っていたかった。
ベッドごと部屋に戻され、時計を見ると12時過ぎ。酸素マスク。これ以降、痛みが強かったら、点滴か座薬か飲み薬を使うと言われていたが、どこにも痛みはない。
全部で小さな傷が5カ所にあるはずだが、違和感があるのは脂肪注入した鎖骨の下だけだ。痛いというよりシンシン響いている。
ナースに言われたように時おり深呼吸したつもりだったけれど、Iさんによるとあまりに静かなので息をしているか心配だったそうだ。
水分補給の点滴が入っているので14時半にはトイレに行きたくなった。「あと30分で安静時間が終わります、我慢できなければ容器を持ってきます」と言われ、我慢。
15時10分、ナース付き添いでゆっくり点滴台を押し、トイレへ。T字帯を濡らさないように、鼠径部のガーゼを濡らさないよう、前寄りに座って用を済ませ、コールでナースを呼び、見守られて部屋に戻る。
ガスは出ましたか、と聞かれる。麻酔から覚め、内臓が動き出せばガスが出る、つまり水を飲むのを許される、ということだ。聴診器をあて、「お腹は動いていますね、大丈夫でしょう、ゆっくり噛むように飲んでください」
初めの一口の、水のおいしさ。「ストロー付のコップ、買ってこようか?」
Iさんは心配そうだが、今回は本手術の時と違って身動き出来るのだから、楽勝だ。「ずっといるよ」と言ってくれたが、彼女は詩を書く人で、某雑誌から原稿依頼があり、ひそかに急いでいるのだ。
「ありがと、またね」とベッドから笑顔で見送った。
『私は検査や手術が大好きです』という珍しい患者に遭ったことがある。平素、勉強熱心で活動的な人だった。神様から「休め」と言われたようで嬉しくなるのだろう。
乳輪乳頭の作成手術は局所麻酔で日帰りする患者も多い。今回、全身麻酔をかけたのは、大きめに再建した乳房の修正を兼ねていたからだ。
その日の夕食はすでに常食だった。食べられずにお膳を返したが、消灯時間を過ぎると急にお腹が空き始め、翌日の朝食が待ち遠しかった。
21時の消灯時に鼠径部にひきつれを感じ、念のために頓服を一錠飲んだ、必要はなかったかもしれない。今回の手術で、痛み止めをもらったのは、この一回限り。傷の具合によって、患者の反応は様々だとナースは言う。痛むか痛まないか、あらかじめ心配しても予測がつかない。
Xさんは再建した乳房の形を整え、乳輪を鼠径部から作るところまでは私と同じだが、乳頭は健側の半分を切り取って縫い付けている。その健側乳頭が少し響くようだが、薬を飲むほどではない。
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