明るい報道、その後は?

乳がん患者に希望を与えるニュースを、新聞の生活文化欄でよく目にします。
・幹細胞入りの脂肪を注入しただけで、綺麗に乳房再建できた。患者は三日で退院した。

・生き残りの片側の乳房から石膏の型を取り、それまでは難しかった左右対称の乳房再建が短時間に出来るようになった。

 
 でもその後、再建された美しい膨らみは維持されているのでしょうか。

 再建手術で均等に仕上がっても、脂肪が溶け流れて平らになってしまう例があるのです。

 穿通枝皮弁による手術は、細い血管をつないで、脂肪に栄養を行き渡らせ、そこに膨らみを定着させる再建です。まず血管をつなぐのが困難で、熟練した技が必要になります。成功したとて、年数が経つにつれて「小さくなってしまった」と困っている人がいます。「脂肪のダマが出来て、チクチクする。局所麻酔でそれを取ってもらう」という人もいました。

 自家組織の再建は一生ものです。だからこそ形成外科医たちは、『粘土細工ではなく、折り紙的に脂肪を重ね、形を整える』、『健側より豊かに作っておいて、脂肪が定着してから修正を加える』等の、工夫を重ねているのです。一度関わった患者さんの面倒は徹底的に見る、というポリシーあってこそ、患者との信頼関係を築けるのでしょう。

 マスコミ報道は私達にとって、かけがえのない情報です。その後の患者さんの状態を、何らかの方法で教えていただければ、いっそう有難いのですけれど。


 乳房再建ネットワーク シャロン前橋 HP http://charon.webcrow.jp



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